タオルの綿の種類や生産地の違いについて

    綿花が一面に広がる綿畑

    タオルの綿はさまざまな種類があるのをご存じでしょうか。また、生産地の違いにより特徴のある綿が生産され、タオルに個性が表れます。

    最近ではファストファッションのTシャツにも商品名として「スーピマコットンTシャツ」などと綿の種類が記載されるようになりました。
    コットン名が書いてあるだけで、何となく着心地良さそうにも思えますが皆さんは綿の種類や素材がどれだけあるかご存じでしょうか。

    特にタオルには様々な産地と種類のコットンが使われており、その中でも綿の繊維の長さが長いほど、繊細な肌触りで毛羽落ちが少ないタオルを製造することが出来ると言われています。

    ここでは今治タオル工業組合発行のタオル読本を基に様々な綿の紹介をします。

    目次

    アメリカの綿について

    ◆ 世界2位の綿産国

    世界2位の綿産国である米国は40種類あまりの品種を栽培しており「綿花のデパート」と言われているほどです。その多くはアプランド綿ですが、最近では超長綿のスーピマ綿の生産も増えています。綿の主な生産地はカリフォルニア、アリゾナ、テキサス、ミシシッピー、ニューメキシコなどの州です。

    <サンホーキン綿>

    日本では好んで使用されているサンホーキン綿はカリフォルニア州のサンホーキンバレイで栽培されています。アプランド綿の中では最も強度があり、色合いが健康的なナチュラルホワイトのため、高級綿ニット糸の原料としては同一価格の綿花の中では最高の評価がされています。

    繊維長は1・2/32インチ~1・4/32インチ以上に達し、繊維強力も優れています。
    摘み取りが機械化されているためデメリットはあるものの、管理技術や雑物の除去能力が高いために世界で最もクリーンな綿のひとつとされています。

    <カリフォルニア/アリゾナ綿>

    カリフォルニア南部のインペリアルバレイとアリゾナ州で栽培されています。
    サンホーキン綿に次いでよく使用されています。
    気候風土の違いにより繊維長や強度、色合いともにやや劣るものになっています。

    <メンフィス綿>

    ミシシッピー州で栽培されている綿で思うにヨーロッパに輸出されています。
    綿と種とを分割する機械に旧式のものを使用していることが多く、時間がかかるために綿の割高感がありますが、繊維の痛みが少ないことに着目して、この綿を好んで使用する日本の紡績会社もあります。

    <スーピマ綿>

    アリゾナ州やニューメキシコ州、カリフォルニア州などで栽培されるようになっている超長綿です。天然の撚りと油分が多いという特質を持っています。また、スーピマコットンで作られた生地は光沢が出ると言われているほど、綿の品質がすべての点で平均以上に優れています。

    インドの綿について

    ◆ 優れている品質のハイブリッド綿

    インドの栽培品種は非紡績用の綿から100番手より細い糸の紡績が可能なスビンまで多岐にわたっています。また、普通の品種に比べて気候風土への適応性があり、単位面積あたりの収穫量が多く、品質綿で優れているハイブリッド綿が盛んに栽培されていることから、その評価は徐々に高まっています。

    <スビン、DCH32、バララクサミ、MCU-5>

    繊維長が最高で1・16/32インチに達するものがある超長綿です。色合いが良く、蝋分と油分の含有量多く、ニット製品にすると手触りが良いと言われています。

    <H-4、シャンカー6>

    繊維長が1・2/32インチが中心の中長綿。程よい強度があり、色合いと均斉度に優れています。やや蠟分が多く加工には手間ひまかける必要がありますが、糸が本来もっている柔らかさが持続し、その品質からインドの神の名前である“シャンカー”がつくほどです。

    エジプトの綿について

    ◆ 高級綿の代名詞「ギザ」の生産国

    栽培されている綿花はすべて超長綿と長繊維綿です。ギザという呼称に2桁の数字がつけられて区別されています。
    かつて日本では超長綿のみならず長繊維綿も日本に多く輸入されていたものの、最近ではアメリカのスーピマ綿にとって替わられていますが、今もなおエジプト綿は高級綿の代名詞として健在です。

    <ギザ45>

    繊維長が1・12/32インチ以上で繊度が3.0~4.0の間に安定しているので海島綿と同格に扱われています。
    超長綿としては他に、ギザ70、ギザ76、ギザ77があり、いずれも優れた強度を持っています。

    <ギザ75、ギザ80、デンデラ>

    長繊維綿に分類されますが強力があり、綿と種の分離をすべてローラージンでお行っているので短繊維の含有率が低く、日本では準超長綿として扱われています。

    オーストラリアの綿について

    ◆ 雑物が少ない南半球の産地綿

    天候の影響を受けやすいこともあり、同じ品種を栽培してもアメリカ綿よりやや強力が劣った糸が出来ると言われていますが、雑物の混入が少なく、北半球の産地と半年ずれて収穫されるため重宝されています。

    <デルタパイン90、サイカラ、シカラ>

    繊維長は1~1・3/32インチで繊度4.5前後、中番手用のクセの無い糸と言われています。
    1980年代から綿花が盛んに栽培されるようになり、品種はすべてアプランド綿で、アカラ系統のデルタパイン90、サイカラ、シカラ種などです。

    中国の綿について

    ◆ 世界第1位の綿産国

    綿の生産国世界1位の中国は、新疆ウイグル自治区と揚子江以北から黄河流域を経て遼寧省に至る地域とで分けられています。
    生産の90%は揚子江・黄河の流域で占められています。
    アプランド綿をはじめ様々な綿が栽培されていますが、その範囲は広大な土地であるため地域による品質の差が生じています。
    新疆ウイグル自治区では超長綿と長繊維綿を栽培しています。

    <新疆ウイグル 146綿>

    品質が1級品で繊維長が46/32インチであることから146綿と名付けられた、新疆ウイグル自治区で栽培される超長綿です。晴れた日が多く、日照時間が長い砂漠エリアで栽培されるコットンは1日の寒暖の差が大きく綿の繊維が順調に成熟することで知られています。

    その他の綿産国

    ◆ パキスタンの綿

    パキスタンの綿は、これまでアメリカのテキサスと並んで太番手用の中繊維綿の供給国という位置付けになっていましたが、最近では中長繊維綿の生産も増えており、一般的なタオルのタテ糸、安価なタオルのパイル糸として日本にも数多く輸入されています。

    ◆ ウズベキスタン

    平均繊維長が1・10/32インチ前後と品質が安定しているウズベキスタンの綿は、繊度がポリエステルの太さに近いため、ポリエステルとの混紡にも使用されています。また、異物の混入も少なく色合いもばらつきがない綿はトルコ製の高級タオル綿糸などに使用されています。

    ◆ ペルーの綿

    繊度の太いタンギス綿やアスペロ綿と、普通の超長綿で区分された超長繊維綿が栽培されています。
    タンギス綿の繊維長は1・5/32インチで程よくバルキー性があるので横編みニット用の糸などに使用されています。
    アスペロ綿の繊維長は1・1/32インチぐらいですが繊度が6.5と太いのが特徴です。

    ◆ 海島綿(シーアイランド綿)

    繊維長1・16/32インチをゆうに超え、繊度は3.2~3.4、シルキーな光沢としなやかさではエジプトのギザ45を上回っており、1業種1社のみ優先的に使用できる制限がある西インド諸島で栽培されている超長綿です。
    カリブ海周辺の一部の地域でしか収穫されないことから、その生産量は世界の綿花のわずか10万分の1と言われていることから、マニアからは幻の綿とも言われています。


    いかがでしたでしょうか。
    タオルに使用される綿は様々な生産国や製造法、品質などがあり、一方でタオルメーカーが価格やどのようなタオルを製造するかの想いがあって、綿が選ばれていることがわかりますので、好みに合いそうな綿で作られているタオルを探すのも面白いかもしれません。

    次の記事では今回ご紹介したコットンで製造したタオルをご紹介します。

    ※今治タオルプロジェクト「タオル読本」を参考に一部変更して記事にしています。

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